生肉のユッケなどを食べた客4人が死亡した集団食中毒事件で、新たな動きです。富山県警と福井県警の合同捜査本部は「焼肉酒家えびす」を展開するフーズ・フォーラスなどに対し、近く強制捜査に踏み切る方針を固めました。
焼き肉チェーン店で相次いで発生したユッケによる集団食中毒事件。5日朝、新たに富山県・砺波市に住む70代の女性1人が入院先の病院で死亡し、一連の食中毒での死者は4人目となりました。この女性は、4日に死亡した40代の女性の実の母親だということです。
「(娘さんが亡くなったと)お聞きして、びっくりしていたんですけど、きょう、またおばあちゃんということで、本当にびっくりしています」(死亡した70代女性の知人)
死亡した70代の女性は先月23日、焼肉酒家えびす砺波店で孫の誕生日を祝うべく、娘夫婦と2人の孫の5人で食事をしていました。しかし、その3日後、食中毒の症状を訴えて医療機関に入院したということです。
「悔しいのは、もうわかって頂けると思う」(女性の親族)
楽しいはずだった誕生日のお祝いから一転し、家族5人が食中毒になるという悲劇。70代の女性からは腸管出血性大腸菌O111が検出されたといいます。
この集団食中毒事件では富山・福井・神奈川の3県にある焼肉酒家えびすの系列店で生肉のユッケなどを食べた75人が食中毒の症状を訴え、4人が死亡、23人が重症となっています。
「(社長は)取り返しのつかないことをしたと。ちゃんと確認をして指示をほしいと」(フーズ・フォーラス石野マネージャー)
富山県などの調査では肉が店に納入される段階で、すでに菌が付着していた可能性が指摘されていて、合同捜査本部は生肉を提供していた店側と食肉卸業者両方の衛生管理に問題があった可能性があるとみて、フーズ・フォーラスの本社と集団食中毒が発生した各店舗、東京都内にある食肉卸業者などを、近く業務上過失致死傷の疑いで強制捜査する方針を固めました。
「けさ亡くなった70代の女性の遺体の入った棺が今、(自宅に)戻ってきました」(記者)
生で食べる肉と加熱用の肉。厚生労働省によりますと2008年以降、食肉処理場から、生で食べるための牛肉の出荷はなくなり、現在は、加熱用の肉しか出荷されていません。
しかし実際は、焼き肉店で、生で食べるユッケなどが広く提供されているのはなぜなのでしょうか。ある食肉処理業者はこう話します。
「生食は技術的には可能だが、管理コストがかかりすぎる。それにリスクが高すぎるので、やれといわれてもやれない」(食肉処理業者)
一方、卸売業者は・・・
「もうだめでしょ、だめですよ、生じゃ。いつかこんな問題が起きると思っていた。憂慮していた。あんな低価格で『刺し』なんか出せるわけない。施設で衛生の基準に対応できない、牛の場合は」(食肉卸売業者)
こうしたことから生で食べる肉の流通が途絶え、加熱用の肉が生で食べる肉として、広く提供されてきた背景にあるのでしょうか。(05日17:38)
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