つ
〔助動〕(活用は【下二段活用】「て.て.つ.つる.つれ.てよ」。用言の連用形に付く。動詞「棄(う)つ」の「う」が脱落したものといわれる)完了の助動詞。
1 ある行為が実現したこと、ある行為を実現させたこと、または動作、作用が完了したことに対する確認の気持を表す。…た。…てしまった。…てしまう。*古事記‐中.歌謡「新治(にひばり)筑波を過ぎて幾夜か寝都流(ツル)」*土左「かぢとり〈略〉おのれし酒をくらひつれば、はやくいなんとて」
2 動作.作用が完了したこと、またはある行為を実現させることに対する強い判断を表す。たしかに…する。ぜひ…する。きっと…する。*源氏‐帚木「悩ましきに、手ながら引き入れつべからん所を」
3 ある事実に対する確認の気持を表す。…た。*万葉‐三〇「ささなみの志賀の辛崎幸くあれど大宮人の船待ちかね津(つ)」
4 「…つ…つ」の形で二つの動作が並列して行われていることを表す。並行の助詞、接続助詞ともされる。*平家‐三「僧都、乗ってはおりつ、おりてはのっつ、あらまし事をぞし給ひける」
補注 (1)意味上は助動詞「ぬ」とほぼ同様とみられるが、「つ」は有為的、作為的な動作を表す語につき、「ぬ」は自然的推移、無作為的な動作を表す語につく傾向がある。また、同一語に付いていても、「つ」は意志的、作為的、「ぬ」は自然推移的、無作為的な意を含むといわれる。(2)「方丈記」の「心、身の苦しみを知れれば、苦しむ時は休めつ、まめなれば使ふ」などは接続助詞として扱う説もある。(3)近世には「雨月物語‐菊花の約」の「薬をえらみ、自方を案じ、みづから煮てあたへつも、猶粥をすすめて、病を看ること同胞のごとく」など「つつ」とほぼ同意になった例も見られる。
しめる
〔助動〕(活用は【下一段活用】「しめ.しめ.しめる.しめる.しめれ.しめろ.しめよ」。活用語の未然形に付く)卆しむ(活用は「しめ.しめ.しむ.しむる.しむれ.しめよ」活用語の未然形に付く)
(1) 使役の助動詞。他にその動作をさせる意、またはそのように誘発する意を表す。…させる。*万葉‐四四九六「うらめしく君はもあるか宿の梅の散り過ぐるまで見之米(シメ)ずありける」
(2) 敬意を表す。
1 (尊敬を表す語の上に付いて)尊敬の意を強める。平安時代以後の用法。*宇津保‐俊蔭「帝大きに驚かせ給て、感ぜしめ聞こしめすこと限りなし」
2 (謙譲を表す語とともに用いて)謙譲の意を強める。…し申しあげる。*大鏡‐五「家貧ならん折は、御寺に申文を奉らしめんと」
補注 (1)は上代から一般に用いられたが、平安時代には、男性語として、もっぱら漢文訓読系の文章に用いられるようになり、仮名文系の「す.さす」と対立するに至る。
る.れる
〔助動〕(活用は「れ.れ.れる.れる.れれ.れろ(れよ)」。下一段型活用。四(五)段活用動詞の未然形、およびサ変動詞未然形の「さ」に付く)卆る(活用は「れ.れ.る.るる.るれ.れよ」。下二段型活用。四段活用.ナ行、ラ行変格活用の動詞の未然形に付く)自発.受身.可能.尊敬の助動詞。
1 自発を表す。ある動作、主として心的作用が自然に無意識的に実現してしまうことを示す。命令形は用いられない。「放って置いたのが悔やまれる」*万葉‐三三七二「砂(まなご)なす児らは愛(かな)しく思は流留(ルル)かも」
2 受身を表す。他から何らかの動作作用の影響を受ける意を表す。受身とともに迷惑や恩恵をこうむっている気持を、合わせて表現することが多い。「車にひかれる」「親に死なれる」*万葉‐八九四「唐(もろこし)の遠き境につかはさ礼(レ)」
3 可能を表す。…することができる。古代は、否定の表現を伴って不可能の意を表すのに用いられるのが普通であったが、中世末以降、打消を伴わないで可能の意を表すようになる。命令形は用いられない。「行こうと思えばいつでも行かれる」*万葉‐四三二二「影(かご)さへ見えて世に忘ら礼(レ)ず」
4 尊敬を表わす。他人の動作を表す語に付いて、敬意を示す。「給う」などよりは軽いといわれる。中古以降の用法で、中古の漢文訓読、中古末の和漢混淆文などに例が多いが、かな文学作品では比較的少ない。「いつ行かれますか」*落窪‐一「これはいつよりもよく縫はれよ」
補注 (1)「られる(らる)」と意味.用法は等しいが、未然形がア段となる動詞には「れる(る)」が付き、それ以外の場合は「られる(らる)」が付く、というように、接続に分担がある。(2)上代では、「ゆ」の形をとることが多く、「る」は中古以降に多く用いられるようになる。中世には連体形「るる」が終止法として用いられるようになり、命令形には「れい」が現れ、やがて一段活用化して「れる」となる。(3)自発.受身.可能.尊敬の意味は、推移的に変化しているため、個々の用例においては、いずれと決めにくい場合がある。(4)「られる(らる).れる(る)」の受身は、英語などの受身と異なり、単純な他動詞ばかりでなく、「肩を叩かれる」「酒を飲まれる」のように目的語を伴った他動詞に付く場合、また、「雨に降られる」のように、自動詞に付く場合もある。なお、「迷惑の受身」などと呼ばれるものは、自動詞に付いた場合が多い。(5)主語が無生物の受身表現は、特に明治以後の翻訳の影響などによって増加し、現在では、客観的な叙述に多く用いられる。(6)サ変動詞に付く場合には、「愛される」のように、語尾「さ」に続くのが普通であるが、古くは、「愛せられる」「愛しられる」のように「せ」「し」に「られる」が付いた。(7)助動詞としないで接尾語とする説もある。
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らる.られる
〔助動〕(活用は「られ.られ.られる.られる.られれ.られろ(られよ)」。下一段型活用。上一段.下一段活用、カ変.サ変活用の動詞、および使役の助動詞「せる」「させる」の未然形に付く)卆らる(活用は「られ.られ.らる.らるる.らるれ.られよ」。下二段型活用。上一段.下一段活用.上二段.下二段活用、カ変.サ変活用の動詞、および使役の助動詞「す」「さす」の未然形に付く)
1 自発を表す。ある動作、主として心的作用が自然に、無意識的に実現してしまうことを示す。命令形は用いられない。*源氏‐帚木「自然(じねん)に心をさめらるるやうになむ侍りし」
2 受身を表す。他から何らかの動作.作用の影響を受ける意を表す。作用の受け手、すなわち受身形の主語は、人間.動物など有情のものであるのが普通である。動作を直接に受け、またその影響をこうむることによって、被害や迷惑、または恩恵などを受ける感じをも含むことが多い。ふつう、動作.作用の行い手は、「…に」の形で表現される。*枕‐七五「ありがたきもの、舅(しうと)にほめられる婿(むこ)」
3 可能を表わす。ある動作をすることができる意を表す。古代には、否定の表現を伴って不可能の意を表すのに用いられるのが普通で、中世末以降、打消を伴わないで可能の意を表すのにも用いられる。命令形は用いられない。*源氏‐須磨「二千里の外、故人の心と誦じ給へる、例の涙もとどめられず」
4 尊敬を表す。他人の動作を表すの語に付いて、敬意を示す。「給ふ」などよりは軽いといわれる。中古には漢文訓読の際のことばなどには多用されるが、かな文学作品の中では比較的少なく、中古末の和漢混淆文などに多く見られる。*大鏡‐六「げに女房のからきことにせらるれども」*平家‐二「入道みづから中門の廊にぞ出でられたり」
補注 (1)「れる(る)」と意味.用法は等しいが、未然形がア段となる動詞には「れる(る)」が付き、それ以外の場合は「られる(らる)」が付くというように、接続に分担がある。(2)上代では、「らゆ」という形が用いられて、「らる」は見出せない。中世には連体形「らるる」が終止法として用いられるようになり、命令形には「られい」が現れ、やがて一段活用化して「られる」となる。(3)自発.受身.可能.尊敬の意味は、推移的に変化しているため、個々の用例においては、いずれと決めにくい場合がある。(4)「られる(らる).れる(る)」の受身は、英語などの受身と異なり、単純な他動詞ばかりでなく、「目をかけられる」のように目的語を伴った他動詞に付く場合、また、「人に逃げられる」のように自動詞に付く場合もある。「迷惑の受身」などといわれるものは自動詞に付いた場合に多い。(5)主語が無生物の受身表現は、特に明治以後の翻訳の影響などによって増加し、現在では、法律、学術書をはじめとして新聞記事、ニュース放送など客観的な叙述に多く用いられる。(6)動詞の活用語尾に準ずるものとして接尾語とする説もある。
ゆ
〔助動〕(活用は「え.え.ゆ.ゆる.ゆれ.○」。四段.ラ変動詞の未然形に付く)自発.受身.可能の助動詞。中古の「る」に当たる。
1 自発。ある動作が自然に行われること、無意識的にある行為をしてしまうことを表す。*万葉‐三七三二「ぬば玉の夜はすがらにねのみし泣か由(ユ)」
2 受身。他から動作を受ける意を表す。動作の受け手(「ゆ」が付いた動詞に対する主語)は、人間.動物など有情のものであるのがふつうで、また、その動作を受けることによって、被害や迷惑、または恩恵などを受ける意味をも含むことが多い。動作の行い手は、「…に」の形で表現される例が多い。*万葉‐八〇四「か行けば人に厭(いと)は延(エ)かく行けば人に憎ま延(エ)」
3 (打消の助動詞を伴って)不可能の意を表す。*書紀‐斉明四年一〇月.歌謡「おもしろき今城のうちは忘ら(ユ)ましじ」
補注 (1)「らゆ」とともに、中古以降の「る」―「らる」に対応する。ただし、上代にも「る」の例は少数ある。命令形は現れない。(2)語源上、「見ゆ、燃ゆ、消ゆ、絶ゆ」など、いわゆる他動詞を対応形にもつヤ行下二段動詞の語尾と同じもので、作用を自然に発動する変化またはその状態としてとらえるのが原義と考えられる。それが、「見ゆ」にも「人に見ゆ」などの用法のあるように、受身の意味を明らかにするために用いられた。(3)四段活用動詞の未然形に付くものを助動詞として取り扱うが、「思ふ」、「聞く」に付いた場合のように、早く「思ほゆ」(さらに「おぼゆ」)、「聞こゆ」となって、一動詞の語尾として扱われるものがある。(4)上一段活用動詞「射る」について、「射ゆ」の受身用法の例があり、「見ゆ」と考え合わせると、古くは上一段動詞にも「ゆ」が付いたと見られる。(5)中古には、漢文訓読に「地蔵十輪経元慶七年点‐七」の「当来に有ら所(エ)む罪咎を防護すべし」のように、多少引き継がれ、また、「あらゆる」「いはゆる」のように連体詞として固定したものが後世まで用いられたほかは、一般に「る」に代わった。
らゆ
〔助動〕(活用は「らえ.○.○.らゆる.○.○」。下二段活用。下二段動詞の未然形に付く。可能の助動詞)否定の表現を伴って、不可能の意を表す。*万葉‐三六六五「妹を思ひいの寝良延(ラエ)ぬに」
補注 四段動詞に付く「ゆ」とともに、「ゆ」‐「らゆ」の組をなして、「る」‐「らる」の組に対応する。上代では下二段動詞「寝(ぬ.いぬ)」に付いた未然形の例しか見られない。
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なり
(格助詞「に」に動詞「あり」の付いた「にあり」の変化。活用は「なら.なり、に.なり.なる.なれ.なれ」。用言.助動詞の連体形や、名詞.副詞などに付く。断定の助動詞)
1 場所や方角などを表す名詞に付いて、その場所に存在している意を表す。…に在る。中古以降では、主として連体形だけが用いられる。*万葉‐三六八六「旅奈礼(ナレ)ば思ひ絶えてもありつれど家にある妹(いも)し思ひ悲しも」*源氏‐夕顔「この西なる家はなに人の住むぞ」
2 ある事物に関して、その種類.性質.状態.原因.理由などを説明し断定することを表す。…である。上代では、名詞またはこれに準ずる語に付くが、中古以降、用言.助動詞の連体形や句末などにも付くようになる。*古事記‐中.歌謡「この御酒(みき)は我が御酒那良(ナラ)ず」*古今‐仮名序「心に思ふことを見るもの聞くものにつけて言ひ出だせるなり」*土左「都へと思ふをものの悲しきは帰らぬ人のあればなりけり」
3 ある名を持つことを表す。連体形だけが用いられ、江戸時代の漢文訓読に始まる語法という。…という名の。*俳.おらが春‐四山人跋「此の一巻や、しなのの俳諧寺一茶なるものの草稿にして」
4 金額の切れ目を示す。証書や帳簿で金額を書くのに「一金壱百万円也」のように「也」字を用いて、以下の端数のないことを示し、また、珠算の読みあげ算で一項の数値ごとに付けて句切りを明らかにする。
補注 (1)(1)の意味については、近世以来、詠嘆としてとらえられてきたが、近年、「伝聞推定」と説くのが一般である。(2)(1)の「なり」と(2)の「なり」とは、接続形式を異にするほか、各活用形の用法や他語との呼応にちがった傾向が見られ、また上代の漢字表記では、断定の「なり」に用いられる「在.有」などが、伝聞推定の「なり」に用いられず、逆に断定の「なり」には用いない「鳴」などが伝聞推定の「なり」に用いられている。(3)(1)の「なり」がラ変型活用語に付く時は、上代では「ありなり」のように終止形に付くが、中古の用例はほとんど「あなり」と書かれている。これは、音便化した「あんなり」の「ん」が表記されなかったものである。この「あん」は従来、連体形「ある」の音便化したものと考えられていたが、「あるなり」と書かれた確証に乏しい。ただし、後世には、連体形に接する例もあらわれてくる。(4)中古では、(2)の「なり」に「めり」「なり」などが付く時は、他のラ変型の活用語と同じく、「なンめり」「なンなり」と撥音便化する。ただしこの撥音は表記されないことが多い。(5)(2)の未然形「なら」が、「ば」を伴わないで仮定条件を表す用法は、近世初期以降の口語にあらわれる。また、連体形「なる」が「な」に転じて、室町以降の口語で、終止法.連体法に用いられる。
たり.1
〔助動〕(活用は「たら.たり、と.たり.たる.たれ.たれ」(ラ変型活用)。体言に付く。格助詞「と」に動詞「あり」の接した「とあり」の変化)断定の助動詞。事物の資格をはっきりとさし示す意を表す。…である。*西大寺本金光明最勝王経平安初期点‐七「現の閻羅の長姉たりと、常に青色の野蚕の衣を著たり」*蜻蛉‐下「兄(せうと)たる人、ほかよりきて」*平家‐一「忠盛備前守たりし時」
補注 平安朝の和文にはほとんど例がなく、漢文訓読文にもっぱら用いられた。中世以後は和漢混交文、抄物などに現れるが、室町中期以後はまれになり、江戸時代にかけて「何たる」のような複合語の用例に限定される。なお江戸前期の上方文学では、「何たる」のほかに「親たる人」のように、身分を表す名詞に付くものがほとんどである。ただし明治以後の文語文にはまた例が見える。
たり.2
〔助動〕(活用は「たら.たり.たり.たる.たれ.たれ」(ラ変型活用)。動詞型活用の連用形に付く。接続助詞「て」に動詞「あり」の接した「てあり」の変化)完了の助動詞。
1 動作.状態の存続すること、または動作の結果の存続することに対する確認の気持を表す。…ている。…ておく。*万葉‐三九一〇「楝(あふち)を家に植ゑ多良(タラ)ば」
2 動作.作用が完了したことを確認する気持を表す。…た。*拾遺‐八二二「たたくとて宿の妻戸をあけたれば人もこずゑのくひななりけり」
3 未来の事柄の実現に対する強い判断をあらわす。きっと…する。必ず…するものだ。*今昔‐一三.六「弥(いよいよ)信を凝(こら)して彼の持者を供養せば、三世の諸仏を供養せむよりは勝れたり」
4 →副助詞「たり」
5 (終助詞的用法)命令、勧誘の意を表す。*滑.浮世床‐初「気障な話は止たり止たり」
補注 (1)「たり」の原形は「万葉‐八九七」の「老いに弖阿留(テアル)吾が身の上に病(やまひ)をと加え弖阿礼(テアレ)ば」などの「てあり」であるが、その「て」については、接続助詞とするほか、助動詞「つ」の連用形が接続助詞に転じたもの、また「つ」の連用形そのものとする説がある。(2)中古の「たなり」「ためり」は、「なり」「めり」が「たり」の終止形(一説に連体形)の撥音便形「た(ン)」を受けているものを表す。中世には「き」「けり」に続く場合「たっし」「たっける」のように促音便形「たっ」が用いられた。(3)バ行マ行の動詞が「たり」を伴うとき、動詞の語尾が撥音便化またはウ音便化するとともに、「たり」が「だり」となることが多い。(4)並列を表す「…たり…たり」は、「…ぬ…ぬ」が文語的であるのに対して、口語として長く用いられ、固定化したものは助詞として扱われる。その固定するまでの例として、「平治‐中」の「大の男の、大鎧はきたり、馬は大きなり、乗りわづらふうへ」のような中止用法が、中世以後に多くみられる。(5)命令形「たれ」は古くは用いられたが、中世以降は衰え、それに代わってもとの形「てあれ」が復活。連体形「たる」の「る」は鎌倉時代から脱落の傾向を生じて「た」となり、現代の口語の助動詞「た」の終止.連体形となる。
日本百科小常识:日本可能是世界上姓氏最多的国家,据说数目可达12万左右。全体日本人都有姓氏是从1875年开始的,在此之前只限一部分人有姓。日本人的姓用汉字表示。中国人的姓大部分是一个字,日本人的姓一般是由一至三个字组成,如“林”“佐藤”“佐久间”。“林”读作“はやし”,“佐藤”读作“さとう”,“佐久间”读作“さくま”。也有的是几种读法并存,如“东”读作“ひがし”、“あずま”,“新谷”读作“しんたに”、“にいや”。
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